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観光客の皆様へのおねがい 観光客の皆様へのおねがい

春の訪れ~トラクターは畑の主役

早春の美瑛。輝く緑と、土色の大地。
そして、トラクターがゴトゴトと丘を越えて…

 

美瑛の冬はとっても長い…

12月から4月まで、丘は深い雪に覆われます。

この時期、美瑛の農家さんはゆっくりと1年の疲れを癒します。春になるまで英気を養っているので、カフェや居酒屋で出会える機会も多いですよ!

そして大地は、雪の下で暖かい春の陽射しを待っています…

3月も半ばになり、日中の気温がプラスになってくると、この謎の黒いクルクル模様が美瑛の丘に出現します!

 

 

これは一体何でしょう?! 野生動物が作った足跡? まさか…UFOが残したミステリーサークル?!

 

 

実はこの模様、農家さんがスノーモービルで描いたものなんです!!

模様の正体は、散布された融雪剤です。融雪剤は、ビートの絞りかすの炭から作って、雪が融け始める時期に畑に散布します。

農家さんは、融雪剤をスノーモービルにセットして、ムラができないよう等間隔にビューン!!と円を描いていきます。これが、何とも言えない素敵な幾何学模様になるんですね!

実際、融雪剤を散布して雪解けが早まるのはわずか1週間ほどだそうですが、美瑛の農家さんにとってはその1週間でもとっても貴重な時間なんですね。

もっと知りたいと思った方はぜひ、美瑛の写真家・菊地晴夫氏の動画をご覧ください。

そして、4月半ばにようやく雪が融け、畑が姿を現します。さあ、ここから本格作業の開始です!

 

最初の丘の色は…人工的?!

雪さえ融けてしまえば、すぐにカラフルなパッチワークの丘が現れて…とお思いの方も多いかもしれません。

でも実は…

 

「へぇ…なんか、想像と違う…」

 

そうなんです。春の美瑛は、皆様が想像するパッチワークの丘のイメージとは違って、あまりカラフルではありません。

なぜなら、畑にパッチワーク模様を描く農作物が、まだ植えられていないからです! 農作物がないと、丘には色がありません。

また、新緑の葉も5月にならないと出てこないし、他の草花も何か月もの間太陽を光を受けず雪の下にいたので、茶色になってしまいました。

ご覧の通り、4月の美瑛は地味な土の色ばかりなんです…

でも、そんな丘でも、時折色を見かけることがあるんです!

 

「あ! まさか…!」

 

そうです! トラクターがしばらくぶりに丘の上に現れました!

トラクターの最初の仕事は、畑の土を起こすことです。

雪の下に埋まっていた土は、固く締まっています。そんな土を掘り起こすことによって、乾いた上の層の土と湿った下の層の土が混ぜ合わされ、土に含まれる栄養分が地表面に上がってきます。

そうして、種蒔きや苗植えの準備をするんですね!

赤や青、緑や黄色のカラフルなトラクターたちは、色のない早春の丘に彩りを与えてくれます。

 

忙しく動くトラクターと十勝岳連峰の山々(4月)

 

そして5月になると、日差しがどんどん暖かくなり、土壌も十分に栄養を蓄え、いよいよ種を蒔き、苗を植え始める時期になります!

 

近代農業の奇跡のトラクター

美瑛の農作物は、なんとなくテキトーに植えられているわけではありません。

作物は成長するとどんどん背が高く、大きくなりますので、適切な距離を保って植えなければなりません。

また、ジャガイモのような作物は、収穫する際に便利なように、三角山のような「うね」を作ります。

 

今から120年以上前の開拓時代には、この作業を人の手や馬で行っていました。

美瑛の畑は何ヘクタールもの広大な面積ですので、人力や馬力でやっていた苦労は計り知れません!

 

こんな大きい畑を人の手で作業するなんて、想像できますか?

 

そんな苦労をしていた農家さんたちを、トラクターが助けにきました!

20世紀半ばにトラクターが登場したことにより、広大な面積での作業もスピードアップし、人力で行っていた重労働からも解放されました。

現在さらに進化を遂げたトラクターは、動きがコンピュータで制御され、植える幅や間隔なども、細かい精度で自動的に行えるようになりました!

技術の進歩は、農家さんの強い味方ですね~

 

こんな傾斜のある丘でも、トラクターならすいすい作業が進みます

 

春の丘は、1年のうちで最も忙しくトラクターが動き回る時期です。

秋の収穫を豊作にするためには、この時期に行う下準備の作業が最も重要になるからです。

ですので、この時期は1つの畑に複数台のトラクターが出ている、なんてことも珍しくありません!

美瑛の住民にとって、丘の上をあちこちでトラクターが走り回る姿は、春の訪れを実感する光景なのです。

トラクター2台と十勝岳の背景

なんて芸術的の畝!モダンアートみたいですね!

この畑の畝が永遠に続きそうです…

 

おまけ:苗クイズ!

作物には、種を直接畑に蒔くものと、ビニールハウスで苗まで育てられてから植えるものがあります。

5月~6月頭ぐらいにかけて芽が大きくなり始めますが、私たちが知っている見た目とはちょっと違うんです!

写真の新芽たちはいったい何の作物なのか、想像できますか???

 

「おい、おい! 僕を抜いちゃダメだよ!
雑草のように見えるかもしれないけど、僕は雑草じゃないよ!
ほら、根っこは筒状の紙に包まれてるでしょ?
僕は正真正銘の苗なんだよ!
さあ、僕は誰でしょう?」
「僕の正体は、ビートでした!
いつか、このちっちゃい根っこも大きな甘いビートになって、
青々とした大きな葉っぱも出るんだぞ!」
「わたし、左右対称のちっちゃな葉っぱで、可愛いでしょ?
わたしは、種から生まれたのよ。
皆さんも昔、小学校で同じように育てたことあるんじゃないかなぁ?
わたしは誰でしょう?」

「答えは、豆でした!
正確に言うと、大豆よ。
この写真は、若い枝豆の頃だけど、しっかり乾燥させてから収穫するので、10月頃までわたしと会えるわ~」

 

いかがでしたか? すべて正解でしたか?

5月下旬に美瑛を訪れると、土から出てきた可愛い苗をたくさん見られますよ!

そんな畑の苗を見ながら、何の作物になるのか当てるゲームをしてみませんか?

 

春の訪れを告げるトラクター。働く農家さんのシンボルです。